ミックスボイスの練習はイメージトレーニングで『出来る』感覚をつかむ事!

歌いながらだと絶対無理だけれど・・・鍵盤を使って声を出していくと、知らないうちにミックスボイスで声を出せてしまえる時があります。
ミックスボイスとは、ファルセットをフルボイスの感覚で『大きく強く出せる高音の声』のこと。
ミックスボイスのイメージトレーニングは、勢いを付けて加速させてみることがポイント。
勢いを付けて加速?・・・どう言う事かというと、例えば走り幅跳び。
この競技は、踏み切り板の所に線が引いてあって、そこから向こうにジャンプしてその幅を計測する、というものですよね。
線まで歩いて行って、線で立ち止まってからジャンプすると全く飛べませんが、ずいぶん手前からスピードをつけて走り、飛び越える線でタイミングを合わせて飛ぶと、相当な距離を飛ぶ事が出来ます。この原理に似ています。
ミックスボイスのトレーニング
まずはフルボイスを、余裕で出せる低音から出して行きます。
低音域というのは、鍵盤で言う所の左側。
1つずつ鍵盤の音を上げて行きながら「うお(母音:お)ーーーい」「うわ(母音:あ)ーい」と母音が伸ばしやすい言葉で叫んで行きます。
この「うお(母音:お)ーーーい」「うわ(母音:あ)ーい」は出しやすいのでおすすめですよ。
この時、喉や胸、首などの上半身を使って声を出さず、必ず腹式呼吸で下半身の力を使って出せるように意識してください。
声を出す時には肩幅くらい足を開いて立ち、つま先に重心が置けるようにします。
低音域は、ゆっくり確実に出して行きましょう。
だんだん音階が上がって来て、声がしっかり前に伸びてくることを感じられるようになったら、この「うお(母音:お)ーーーい」または「うわ(母音:あ)ーい」の叫び声を出すスピードを早くします。勢いに乗せてしまうのです。
言うなれば、必死で鍵盤の音に食らいついて声を出さなくては、とせかすような感じにしてしまうのです。
そうすると、今までであれば、フルボイスの限界まで来た時にファルセットに切り替わってしまったり、声が引っくり返ったりしていたものが、ひっくり返らずにファルセットの感覚でしっかりした声が前に出てくる瞬間があるんです。
「それなら、力任せにファルセットを出してみればいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
もちろん声帯の動き的にはファルセットな訳ですし、それもひとつの手だと思うのですが、やはり難しいのは「イメージ」出来るかどうか、なんです。
ミックスボイスの感覚
私のレッスンで意識している事は「頭で考えさせない」ということ。
頭で考えてしまうとどうしても出来なくなることが多いんですよ。
「まずはファルセット出してください」というと、最初から「ファルセット」を頭にインプットしてしまう。そこに「フルボイスのように、思いっきり声を出しましょう」と伝えると、どうしてもファルセットの感覚が抜け切らなくて、ファルセットとフルボイスが混乱してしまって、声が余計に出せなくなってしまうのです。
これを避ける為に、私はあえて考えさせる時間を作らないようにすることがよくあります。
頭ではなく、身体で感じることこそが大切だと思うからです。
もちろん、声の種類に関しては、分かりやすいようにフルボイスは大きな声、ファルセットは空気を多く含んだ柔らかく丸みのある声、というようなイメージを最初に教えて行きますが、でも実は、このミックスボイスのようなパターンで言うとそうではない訳ですよね。
決められたものではない、それを得る為にはやはり身体の感覚こそが大事なんですね。
「気がついたら出来ていた?」「あれ?さっきの声は一体なんだったんだろう?」「どこから出たんだろう?」
そう思える瞬間を作るのが私の仕事。
それをまずは自分の身体で感じる事で、「わからない」「出来ない」から「わかる」「出来る」に気持ちを変えて行く。それは自信に繋がって行き、歌おうとしなかった曲さえも、歌いたいと思えるきっかけになりますね。
まずは怖がらず、声を解放して上げてみてください。
ひっくり返っても、裏返ってもいいんです!
ひっくり返ったときの声がまた、いいファルセットにも繋がるし、驚くような高音が当たる場合もあるんですよ。
お友達とストレス発散に声の張り上げ合いをするのも、いいかもしれませんね?