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プロのボイストレーナーが『歌』についていろいろ書いてます♪

【表現力】とは100%以上の気持ちで取り 組まなければならない!

      2015/10/30

※↑無料写真素材ぱくたそさんからお借りしています。

 

声を使った表現力というものをお伝えするにあたり、いくつかの職業を例えにしたいと思います。

 

「歌手」という職業と、「女優」「俳優」「声優」という職業。

それぞれに「声」を使っていますが、全く違う職業でもあります。

 

歌手というのは・・・

メロディと歌詞が存在する「歌」を、きちんとそのメロディに乗っかって自分の声で歌う。

という職業ですね。

 

「女優」「俳優」というと・・・

女性、男性が、それぞれ自分の「顔」「身体」「声」を使って、自分自身で他人を演じる。

ということ。

 

そして「声優」というのは、

顔や身体は使わずに、自分の声だけを使って他人を演じる。

という職業のことを言います。

 

「声」で行う表現力とは・・・

 

「歌手」つまり歌を歌うということは、そこに既に完成している歌詞がある訳ですね。

その歌詞は、時間にしてわずか3~4分のものです。

 

言葉数も決められていて、そこにメロディや、バックグラウンドの演奏の音があるおかげで、自分の声を使わなくてもある程度の土台となる、切なさ、喜びに加えて、曲の盛り上がりなど、強調する場所も決まっています。

 

そこに自分の声を追加して「歌詞だけを使って声で演じる」わけですね。

 

つまり、

『自分の声を使ってメロディに乗って感情表現をする』

ということが必要になる訳です。

 

この「歌で表現をする」というのは、歌がうまくなりたい人にとっては、とっても難しい事。

ただ音を当てればいい、リズムに乗せればいい、というものではないからです。

 

3分半程度の曲の中に、決められたストーリーがある。

そのストーリーを自分で分解して、十分に理解して、もっと深く、もっと濃く、ストーリーを作り上げなければなりません。

 

例えば「りんご」と聞いて・・・

りんごは誰にでも簡単に思い描く事は出来るでしょう。

 

でも、そのりんごは一体どんなりんごですか?

 

色は赤い?それとも緑?それとも黄色?

サイズは小さい?大きい?

形は丸い?ごつごつしている?

葉っぱや茎はついている?

傷はついている?どんな形の傷?

食べると甘い? 中身は黄色い? 白い? シャキシャキしている??

 

これを相手に伝えるためには、あなたが今「どんなりんごを想像したか、どこまで想像できるか」が重要なんですね。

 

絵を描くとしてもそうでしょう。

「りんごを描いてください~」と言われて、鉛筆でりんごの外周だけを形どったものを描くだけだったら、それがどんなりんごかということなんて、それを見た人には伝わらないのです。

 

3分半程度の中に、メロディと歌詞だけを使って表現する。

これが歌手の表現力の見せ所となります。

 

声優さんの表現力

 

声優の場合は、決められたストーリーにそれぞれ割り振られた役目があります。

そして、それぞれにセリフなどのやり取りがあります。

 

この、決められた短いセリフに対して毎回大きな感情表現が必要となります。

普通の声、で勝負をすることは少ないかと思います。

というのは、大げさに表現をしないと、それが相手に(つまりは耳だけで聞いてもらった時に)伝わらないからですね。

 

声優さんの台本ともなるもの、つまりは文章、語りかけ、などのストーリーですね。

そのストーリーの役柄を演じることが必要なのですが、それを声だけで表現しなければなりません。

 

女優、俳優さんであれば、声だけではなく身体で表現が出来ます。

 

例えば「お腹が痛い」ということを訴えるとき。

身体で痛みを表現すれば、見ている人には伝わります。

また、嬉しさを表現する時も、身体とともに、顔の表情で喜びを表現すれば伝わります。

 

ところが声優さんとなると、顔や身体は出ない訳ですね。

なので「声」だけで表現をすることが必要なため、表現力がとても重要視されます。

 

「痛い!」の一言だけでどこまでその痛みを表現出来るか。

「嬉しい!」の一言だけで、どんな喜びを表現出来るか。

これはとっても大変なことです。

 

表現力を身に付けるレッスン

 

ボーカルレッスンで、私が生徒達によく言う言葉があります。

 

『表現をしたつもりという「つもり」は、全くしていないのと同じである』ということ。

 

本当に表現をして、こんなに大げさに、こんなに苦しく、切なく、または怒りや喜びを表現出来た。

とはっきり言い切れるならば、本当にそこを100%以上意識が出来たから言い切れる訳ですね。

 

ですが「表現したつもりです」という、か弱い答えが返って来て「何%くらいで表現しましたか?」と聞き返すと「60%くらいです」「80%くらいです」と答える人の何と多いことか・・・。

 

表現力というものは、簡単には出せない物だと思います。

だからこそ、100%以上の気持ちで取り組まなければならない。

大げさにやる方がいいのです。

 

テレビや映画であれば、カメラが近づく距離で撮影をされるから、動きが小さくて普通であっても、それは見ている人に届きます。

ですが、大舞台の演劇などで、役者さんが小さな動きをしていたって、観客席の遠く離れた場所から見ている人には伝わらない、というのと同じです。

 

「ここからここまで」という表現を求められているのであれば、小さい動きで両手を使って表現すのではなく、体全体を使って「ここから・・・・ここまで・・・」と大きく表現すれば、観客の皆さん全てにその距離感が伝わります。

 

では、表現力を身に付けるためにはどんな練習をすればいいのか。

まずは「自分の感情表現を豊かにすること」ではないでしょうか。

 

嬉しい時に、嬉しさがどのくらい伝えられるのか。

悲しい時に、どれほどの悲しさなのか。

腹が立った時に、どれだけ怒っているのか。

切ない時に、どんな切なさなのか。

 

それを声だけでどこまで表現出来るのか・・・。

 

これは自分との戦いでもあると思います。

「表現する事が恥ずかしい」と思っているうちは、きっと何も表現出来ないと思います。

 

また、嬉しさ・喜び・悲しみ・怒りを

ただの「嬉しい!」「楽しい!」「悲しい!」「腹立つ!」という当たり前の言葉で表現するのではなく、何か違う言葉でそれを表現する。

という技術を身につける事も大事かと思います。

 

例えば、嬉しさを表現する時に「嬉しい!」と言ってしまえば、あまり声に表現力がなくても、そのセリフから「ああ、嬉しいんだな」とは伝わりますね。

そうではなく「わーい♪」の一言の中に、どれだけその嬉しさを詰め込む事が出来るのか、ということです。

 

よく食べ物を紹介する番組で「美味しいですね。」と普通に言ってしまう役者さんがいますが、この「美味しいですね。」の言葉ではない自分の言葉で美味しさを伝えられる人もいるわけです。

 

本当に美味しいものを食べた時、一体あなたはどんなリアクションをして、どんな声を、どんな音を発声させるでしょうか。

これが『表現力』ですね。

 

こういった事を日々、練習して行くと、あなたの表現力は開花するはずです。

 

文章を読むなら、ただの棒読みにならないようにする。

どこまで感情表現をその言葉の中に入魂出来るかにチャレンジしてみる。

 

これは、あなたの性格そのものにも、きっといい影響があるはずですよ。

 

 

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